キウイ好きな人の日常。。。

趣味の読書やTRPG、あとは日々のあれこれについて書いてます。毎日が運動不足です。

読書感想<シノビガミリプレイ ~季節は次々死んでいく~>

うも。前回の更新から季節が1つ2つ過ぎましたネ。

怠惰属性持ちのいのこです。お久しぶりでございます。

2016年の秋から冬にかけても素敵な本や、素晴らしいセッションに度々参加していたんですけれどね!その感想は私の心の中に!!

 

ということで、新年も向かえ、1月も終る2017年の一回目は読書感想にしようと思いますー。

読書感想のために取り出しました一冊の本、<季節は次々んでいく>。

こちら、通常販売の本ではなくて同人誌リプレイ小説で御座います。

制作元のサークルさんは、その名も<最強腐敗乙女団>さん。

スゴイですね。どんな感じの方向性か、わかる人にはわかるお名前。いいネ!

 

ネタバレ含むのため未購入の方、今後このシナリオでセッションする可能性のある方は読まないようにお願いしますー。

よろしいですか?

 

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 感想~。ネタバレ注意ですが、秘密やシナリオ情報は書きません。

 

まずもって何が素晴らしいって、サイズ感と装丁。

サイズは新書。サイフィクのルルブサイズ!

同人誌って小さくてもA5だったりB5だったりだと思うんですが、カバンに入れて持ち運ぶにはちょっと・・・かさばるんですよね・・・。何より、外で出して読むには適さない・・・。ですがこのリプレイ小説はおなじみの新書サイズ。通勤カバンにも問題なく入れられます。これでささくれた心を抱え気味な通勤時間のお供になってもらえますね!ありがたい!!

装丁もねー、イラストもねー。かっこいいんですよーーー。同人誌なのにカラーカバーつき・・・一見、書店に並んでる本と同じ。好きです。

絵は各PCのビジュアルも素敵ですし、クライマックス戦闘のプロット挿絵のデザインもカッコイイ。お伺いしたところ、プロット時のPC+家紋絵はイラストレーターさんのデザインだとかで。凛とした横顔に、各PCの家紋の組み合わせがとても素敵です。

 

本編ももちろん素晴らしいですがな。

シナリオ的には「わー、満遍なくえぐってくるなぁ☆」につきるかと。

全体の流れとしては情報強者と情報弱者がハッキリとわかれた感じでしたが、綺麗に流れていたなぁと思います。やはりそこはPLの皆さんとGMさんの手腕なのでしょうか。

実際のセッションやってるとわかるんですが、「伏線のつもりでなかった発言や行動が伏線になる」とか「よくわかんないけど適当に発言したことが地雷だったで御座る」とか「キャラに設定盛ったらなんか綺麗に落としどころができた」みたいな、どんな行動も発言も何に繋がるかわからないじゃないですか。

シナリオ製作者の方はあえてそうなるように組んでらっしゃるかもしれないんですが、それでも「綺麗に物語が動いたなー」という印象でした。然るべきところで然るべき人が動き、然るべき内容が然るべき人たちの間で動いた。そんな感じでした。

所々に挟まる地の分というか、セッションにはない表現?追記の描写?も綺麗です。

あとは、ツイッターでも呟いてたんですが、PC番号が数字ではなくて植物(家紋)の名前だったのも素敵です。オシャレ!!こういうところ、真似したくなりますよね・・・素敵・・・。

あ、あと欄外(というか下の方)に出る解説と、PLさんたちのやりとりも好きです(笑)OLのお姉さんのやりとりとか、楽しそうで楽しそうでww 

 

このシナリオ、PLとして参加してたら立ち位置によっては胃にダイレクトアタックだと思うんですが、皆さん素晴らしいRPでした・・・。PC桜も、萩も、菊も、桐も、NPCも。登場するキャラクターは全て個性的で魅力的。

PC桜の常盤さんはクール系暗殺者かと思いきや、天然で可愛らしい人でした。

相棒の茅蜩くんとのやりとりがたまらんかったです。言葉少なで最初はいわゆる「お人形さん」的なキャラなのかなーと思っていたんですが。相棒や他PCとのやりとりで生まれる感情と理解。そこから出る答えの素直なこと素直なこと。

たぶんPCの中で一番純真なんだろうなぁ!まっさらまっすぐ。ぶつけられる側はたまったもんじゃないよね!っていう、直球な言葉。エンディングでの告白とプロポーズの言葉は本当、卑怯だなって思います。

あとは爆弾引き当てたときのPLさんの唸り。お心お察しいたします・・・がんばっ・・・ってしんみりしました。アアイウノズルイ。デモオイシイデス。

 

PC萩の茅蜩くんは可愛いヤンチャ系と見せかけて、誰より男前でした。

あの秘密はね~。もらった瞬間、固まるよね~!!それなのに、ブレず迷わず、信じるものを信じ通して。好きなものを好きだと言い続けて。言葉は強さですね。

あの戦いの結果は、彼の天真爛漫さとひたむきさで勝ち取った命でしょう。明るく、暖かく。苺の甘さ酸っぱさが似合う人。

あとお名前がセミのヒグラシからなんでしょうか。変わったチョイスだなーと思ってたんですが、季節が死ぬと一緒に死んでしまう生き物だからとったのかな。場合によってはあの虫のように愛を告げて死ぬつもりだったのかな・・・と切なくなりました。

生きててよかったね!愛した人と幸せであれ!!

 

PC菊の青藍さんはエリートお坊ちゃまと思いきや、器の広い誠実な方でした。

初めはエリート故横暴というか、上から系発言系かなーと思ってたんですが。違いましたね、めっちゃ世間知らずな愛しい次期当主様でした。

枝折くんへの信頼度の高さというか、「当たり前だろ」と言わんばかりの堂々さ・・・。お兄様といるときはしっかりものの弟なのに、枝折くんといるときは天然炸裂で一粒で二度美味しい的な。

エンディングシーンのお兄様とのやりとりは大変美味しく、そして美しかったです。ちょっと泣いたことは内緒です。

立ち位置的には孤立と仲違いで、亀裂が入ったまま・・・みたいな終わりもあるんでしょうが。そんな終わりではなく、全てを受け入れてそれでもなお尊重すべきところはわかっていらっしゃる。そういう器の広さがまさに「御前」でした。

 

PC桐の折くんはいまどきのダル系少年と見せかけて、気高く強い人でした。

折くんに関しては、表紙のイラスト見たときから「このビジュアル・・・好き・・・」とメロメロだったんですが(三白眼短眉がドツボ)、所々で見せる優しさとか、少年らしさとかスゴイもう、ありがとうございますっていう感じでした。

世間知らずな青藍さんに嘘情報をサラッと教えるところとかね。あのファミレスでのドリンクバーのやりとり、めっちゃ好きです。あんな嘘パッとでないぞww

最終的にはお友達ができて、ほんとよかったです。これからの道はひとりじゃなくて、御前と一緒だね!よかったね!と頭撫で繰り回したくなります。

膝を折る系の従者ではなくて、隣に立つ系の従者。イイデスネ!

 

あとはNPCこと青藍さんのお兄様。緑青さん。おにいさま・・・!儚げな描写が度々ツボでした。そして、あの設定卑怯だと思うんですよねっ。あんなん、PL菊からしてみれば「好き・・・」ってなるじゃん!?なるのにー!!

どこでああなってしまったのだろうな、と思いを馳せてしまいます。始まりは、青藍さんを置いていかねばならない未練だったんだろうかと。季節が終るたびに、狂気が生まれていったのだろうかと思うと、切ないですな・・・。

あと、お名前。

青藍さんと関連付けた名前をつけたんでしょうが、素敵ですねー。兄弟の名前を繋げると、緑青藍で色が移り変わっていく。グラデーション。

生の緑から空の青。美しく優しい色は移り変わって藍へ。藍の次にあるのは終焉の黒か、それとも巡った先の生の緑か。刃を置いた葉室の名前なら、きっとその先は命の緑なのではないのかな。そんな風に、名前だけで物語が綴れそうな素敵さでした(ウットリ)

 

 

巡り巡る季節の中で、色鮮やかに彼らが生きていけますように。そんな充実した読了感を味わえる、素敵な一冊でした。